先日、休みを利用して人形町界隈や東京スカイツリーを見学してきたお話しをしたかと思います。実に盛りだくさんの2日間で、その他にも、会社勤め時代の同僚の家を訪問したり、江東区にある妻の親戚のお宅へお邪魔したりと、疲れたけれど充実したお休みでした。

「新参者」の聖地巡りも楽しみにしていたのですが、実はとても楽しみにしていたのが妻の親戚のお宅への訪問。江東区の某所にあるお宅へと伺ったのですが、この界隈に長く住んでいらっしゃる方とお話しできるのがとても楽しい。それは何故かというと、数年前からハマッている江戸時代を舞台した小説の影響だったりします。

宮部みゆきさんの小説は以前からたくさん読んでいたのですが、時代物にはあまり興味が湧かなかったことから、現代を舞台にしたミステリーを中心に読んでいました。ところが4年ほど前に、足を手術するために母が入院することになって、入院中の暇つぶしになれば・・・という思いで、母が好きそうな時代物の小説を何冊か選び出したという次第です。

母が無事に退院したあと、自分でもそれらの小説を読んだのですが、これがまあなんと面白いこと!すっかり宮部みゆきさんの描く江戸時代の物語りに魅了されてしまったのでした。



なかでも私のお気に入りは、南町奉行所の本所深川方臨時廻り同心である井筒平四郎が主人公のシリーズ。「ぼんくら」「日暮らし」「おまえさん」からなる3部作です。それぞれが独立した読み物になっていますので、単独で読んでも楽しめますが、もしご興味があるという方にはぜひとも「ぼんくら」から順番に読破されることをオススメします。

深川にある長屋に住まう様々な人間の心模様が、江戸時代ならではの日常描写の中で交錯していく様にほっこりし、同心である井筒平四郎が仲間とともに事件を紐解いていくストーリーはもちろんのこと、それ以外の単純な日々の暮らしを想像するだけで何だかわくわくしてきます。

長屋の煮売り屋の店先で話し込んでいると、そこに天秤棒を担いだ甘酒の振り売りの声が聞こえてきて、「どれ、ちょっくら喉を潤すか」なんていうことになり、店の奉公人に銭を持たせて甘酒を買いに走らせる・・・なんていう描写を読むと、頭の中はすっかりそのリアルな描写でいっぱいになってきて、「ああ、江戸時代にタイムスリップしてみたい!」などと思うようになってしまうのです。


そんなワケで、すでに江東区でで3代にわたって暮らしているというれっきとした江戸っ子である妻の親戚の皆さんと話していると、さらにその先の江戸時代へと暮らしが繋がっているような気がして、なんだかとても面白いのです。

そうそう、今回宿泊した東陽町のホテルの朝食に「深川めし」がありまして、それを朝から食べられたこともポイントの高い出来ごとでした。もっとも、深川めしというのは現代になってから深川界隈を盛り上げるための「ご当時グルメ」として発展したという話しもあり、江戸時代の庶民がみな深川めしに舌鼓を打っていたかどうかは定かではありませんが・・・

またゆっくりと時間が取れるのであれば、人形町を更に散策し、人形町から浜町を抜けのんびりと隅田川を渡り、そして芭蕉のゆかりの地を経由しつつ清澄白河へ・・・
なんていう過ごし方がいいなあ、などと空想している私なのでした。