小学生だった頃、3歳上の兄の部屋のラジカセから流れてきたのは、チューリップの「心の旅」。不思議とそのメロディーは頭から離れなくなっていて、自分も中学生になってからは、チューリップ好きな同級生とバンドの真似ごとをするようになりました。

高校生になると本格的にバンドを組みました。チューリップとまったく同じバンド編成にして、財津和夫さんに憧れていた自分は、家にピアノがあることを理由に、キーボードとヴォーカルをやることに。ピアノが弾けたわけでもないのに、財津さんになりたかっただけでした。

高1の夏休みに、仲間と各駅停車の夜行列車に乗って、よみうりランドまでコンサートを見に行ったのは、今でも青春時代の1ページとして、鮮明に脳裏に焼き付いています。あの夏はとても暑かったっけ。


今日、チューリップのギタリストだった安部俊幸さんが他界したことをニュースで知りました。ジョンレノンやフレディーマーキュリーが亡くなったって他人事に思えたし、どんな有名なミュージシャンが他界したって悲しい気持ちにはなりませんでした。それなのに、今日はやっぱり悲しい。自分の青春の一部分が欠落してしまったような気がします。

安部さんのギターには不思議な魅力がありました。超絶なテクニックがあったわけでもないし、屈指のメロディーメーカーだったわけでもありません。でも、安部さんがチューリップを脱退した後、チューリップの音楽はチューリップではなくなってしまいました。どんなすごいギタリストがサポートメンバーに入っても、あのギターの音色にはなりませんでした。


今夜は、飲めないお酒をちょっとだけ飲みながら、大好きなアルバム「Someday Somewhere」を聞こうかと思います。安部さん、どうか安らかに。