先日の定休日のこと。
「たまには車じゃなくて、電車に乗って松本まで行こうヨ」
ということになって、私と妻はJR村井駅から松本駅までのささやかな電車旅行を楽しみました。

電車で移動すれば駐車する場所も考えなくていいし、当たり前ですが何時間経過しても駐車料金が発生しません。それになんといっても、普段は見過ごしているようなところも、歩くことによって新しく発見するコトがあって、なかなか新鮮な1日でした。

デパートを3軒ハシゴして、妻は気に入った洋服を見つけたようですが、私はお目当てだった「軽くて暖かいハーフコートかブルゾン」が見つかりません。いや、たくさん品物はあったのですが、なかなか自分のスイートスポットにはまるものが見つからなかったのです。

「今日はもういいから帰ろうヨ」と私は提案したのですが、妻の「デパートじゃない個人経営のブティックでも覗いてみたら?」という意見に乗ることにして、学生時代から良く目にしていた一軒のお店に入りました。

店内の服をいくつか見ていたら、お店のオーナーご夫婦がさりげなく声をかけてきてくれて、あれこれと似合いそうな服を提案してくれました。私より年配の奥様の対応は、押し付けがましくなくって、本当に私に合いそうな服を真剣に探してくれて、それは気持ちの良いものでした。

大きなお店の店員さんの中にも、素晴らしい対応をしてくださる方はたくさんいるのでしょうけれども、やっぱりファッションのことが大好きで、自らブティックを経営していらっしゃる方のこだわりにはかなわない部分があるように思えます。「ここは学生時代から知っていたけど、今日初めて入りました」と私が言うと、「もう創業して30余年ですヨ」と笑って応える奥さん。さすがに年季が違います!

「クリーニングはきちんとしたトコロに出してください。いい店を知らなかったら、ウチで紹介もできますし、服を持ってきてくれれば、ウチで預かってもいいですヨ」とまで言ってくれて、絶対に大きなお店ではできないであろう細かな気遣いに、思わず頬がゆるんでしまいました。

結局、一番最初に試着したブルゾンが一発で気に入ってしまって、それを購入しました。ちょっと予算オーバーだったものの、その心地よい対応と、何の気持ちの妥協もなく、本当に気に入ったモノを手に入れることができた幸福感で、帰路の足取りは非常に軽やかになりました。

個人経営の小さなお店だからできる気配り。
私が目指したいモノを、30年以上かけて培ってきたご夫婦。
「ウチも、そこに到達できるようにがんばらなければ!」と強く思ったのです。