先日、我が家の子ども達に買ってあげる本を探しに本屋さんに行ったのですが、案の上、手元には自分が読むための小説が・・・。

東野圭吾さんの「幻夜」。ページ数779ページにわたる長編小説です。これだけの厚みがあれば、年末年始にゴロ寝しながら楽しめるゾなんて思って購入したのですが、活字の誘惑には勝てず、ついページをめくってしまったが運の尽き、最後まで読みきってしまいました。



「幻夜」は、TVドラマにもなったヒット作品「白夜行」の続編です。しかし、私は本の帯の説明も何も見ずにこの本を手にしたものですから、これが「白夜行」の続編小説であるなんてことは予想だにせずに読みきってしまいました。ストーリーの根底に流れ続けるダークな色彩や展開が「白夜行」と同じテーマカラーの小説であるとは感じていましたが、まさか続編であるとは思っていませんでした。読み終わって巻末の解説を読んで、初めてその事実に気がつき、この本だけでは解ききれない多くの謎がやっとほぐれていったのです。

つまり、それほどまでにストーリーは完全に前作とは切り離されて独立されているというのに、同じテーマカラーで小説を描ききってしまう東野さんの力量に感服した次第です。作品のキーとなる人物が複数の作品に登場するというだけで、ストーリーがまったく別だという作品はたくさんありますが、この作品は前作「白夜行」と完全に繋がった作品です。それなのに前作を知らなくても十分に一つの作品として面白い、その完成度の高さに驚かされます。

ミステリーものが大好きで、両作品をまだ読んだことがないという方がいたらぜひとも一読していただきたいのでありますが、私がオススメするのであればセオリーから外れますが、この本作「幻夜」から読まれることをオススメします。その後に前作である「白夜行」を読むことで、このシリーズの根底に流れる「闇」の暗さがより一層際立つような気がします。すでにTVドラマの「白夜行」を見たことがある方であれば、なおさら小説を読んでいただきたい。活字でしか伝えることができないダークな色彩が、そこには必ずあるはずです。