No.021 / 2005年2月20日

「至高のブレンド」


 コーヒー好きが高じて自家焙煎コーヒー豆の専門店を開業したものの、我が家で飲むコーヒー はお客様向けに販売しているコーヒーよりも質で劣るものを飲んでおります。当店では焙煎してから7日間を過ぎた豆は店頭から下げてしましますので( エッセイNo.014 <7days Rule>)、我が家ではこの売れ残りのコーヒー豆を飲むことになります。店から下げた豆と言っても、もちろん、まだ まだ十分に美味しい豆ではありますが、やはり香りは焙煎してから数日以内のものに比べると弱くなっています。しかし、お客様では絶対味わえない、焼きたて 豆の極上のブレンドコーヒーを、店主はいつも楽しんでおります。

 当店ではコーヒー豆のハンドピックをおこなって不良豆を取り除いております。生豆をひとすくいづつトレイにあけて虫食い豆やカビ豆などを取り除きます。 焙煎後は割れ豆や欠け豆を中心にハンドピックします。もっとも焙煎が完了した豆は、衛生上の問題から、それほど丁寧におこなうわけにもいきませんから、お おまかに・・・といった感じです。それでも割れ豆や欠け豆、中が空洞になった貝殻豆などが、結構目につきます。

 通常、焙煎後にピックしたコーヒー豆は捨てられてしまうのですが、当店では、これらを極力捨てずに、店主と妻のコーヒータイム用のコーヒーとして使用す るようにしています。虫食い豆やカビ豆はともかくとして、割れ豆や貝殻豆は焙煎機による攪拌等で割れてしまったものも多く、実際に飲んでみるとこれがなか なか捨てた味ではありません。それに、エッセイの
No.001< パール>でも述べましたが、コーヒー豆を生産している国の方々にしてみれば、コーヒー豆は真珠にも等しい貴重なものです。できるだけ残さず に飲んであげたい・・・という気持ちから、このようにピックした豆を飲むことを始めてみた次第です。

 店主はこれらのピックして集めたコーヒー豆を、「クズ豆ブレンド」と称しています(笑)。きっとこの名前と、豆の悲惨な状態を見たら、このコーヒーを飲 みたがる人はいないに違いありません。それでも店主は思うのです。これこそ、自家焙煎のコーヒー豆屋をやっているからこそ飲むことができる至高のコーヒー だと。毎日異なる豆の種類、毎日異なるブレンドの配合比率。2度と同じ味わいを口にすることはないのです。1日だけの特別な味。焙煎するもののみが味わえ るコーヒー。それがクズ豆ブレンドなのです。



< 本日のクズ豆ブレンド >

配合豆
1) カロシ・ランテカルア
2) エチオピア・イルガチェフ(モカ)
3) シグリ
4) ガテマラ・ローズオブオークランド

配合比率:不明。

(クズ豆ブレンドは、ご要望があってもお売りすることができません。悪しからず。)


 ただの石ころも、手にする人の気持ち次第ではダイアモンドとなることでしょう。
 今日も、究極のコーヒー「クズ豆ブレンド」を飲みながら、コーヒーの奥深い味わいに癒される店主と妻なのでありました。



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十人十色のコーヒータイムを演出する、Toiro Coffeeです。
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