No.009 / 2004年08月22日

「コーヒーよ永遠なれ・・・」

  先日偶然観ていたTV番組で、富士山の「永久凍土」の範囲が段々狭まっているという内容を放送していま した。「永久凍土」というのはその漢字が表しているように、永久に凍った状態である土のことを指しています。つまりは夏がきてもその土は凍ったままになっ ているわけで、この永久凍土があるからこそ富士山のあの優美な冠雪した姿があるとも言えます。

 この富士山の永久凍土が、この5年間で実に約100mも上昇しているというのです。このまま地球の温暖化が進めば、いずれ富士山の永久凍土域はなくなっ てしまうかもしれません。永久凍土域がなくなるということは富士山を覆っている堅いカラがなくなってしまうことを意味していますので、富士山が崩れ落ちて しまうということも決して大げさなことではなく、現実にあり得る話しだそうです。

 地球温暖化によって山々の生態系も変わりつつあるようです。今までは緑がなかったところに針葉樹の林ができたり、今までは針葉樹林だった場所に広葉樹が 茂ったり・・・。長野県の山々も例外ではなく、高山植物の減少や、ライチョウなどの標高の高いところで生活する生き物たちも減少傾向にあるとのことです。

 このような地球温暖化の影響はコーヒーの木の生態系をも脅かすものではないのか・・・と、店主は少々心配しております。エッセイのNo.8(コーヒーチェリーを夢見 て)でも触れましたが、当店が取り扱っているコーヒーの品種、アラビカ種は、標高1000m以上の高地で採取されるものです。このまま温暖化が進 めば、段々とコーヒーの木の生息地域も狭まっていき、いずれは品質の高いアラビカ種のコーヒー豆は採取できなくなり、透き通るようなすっきりした味わいの コーヒーを飲めることはなくなってしまうのではないか・・・などと思うのです。

 地球温暖化に歯止めをかけるためには個人の努力には限度があります。やはり企業レベルでの意識改革が必要でしょう。私たちが利便を追いかけた代償として 豊かな自然が失われつつあることを肝に銘じなくてはなりません。「利益の追求」という企業の大前提はあるのでしょうけれども、何とか豊かな自然環境を取り 戻すための努力をしていただきたいと思います。もちろん、各個人レベルでも不必要な自動車のアイドリングを減らすなどの努力は必要ですが・・・。

 私たちが愛するコーヒーが、子供たち、孫たちへと引き継がれる永遠の味であることを願う店主なのでした。



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