No.058 / 2009年1月10日

「回顧 -2008-」


  2008年度の一番の大きな出来事と言えば、オープン5周年を迎えることができたということでしょう。2003年に「十色珈琲」をオープン して以来、珈琲豆と向き合い、珈琲豆を焼くことだけで毎日を過ごしてきました。5年も先の自分の姿など想像もできずにいましたが、収入はささやかなもので あっても、たくさんの常連様に支えられてお店を続けてこられたことに感謝しております。

また、2007年度は生涯2度目の救急車にお世話になってしまい、はやり2度目の入院を余儀なくされ、お店を数日間臨時休業せざるを得ませんでしたが、 2008年度は1年を通じて、予定通り営業をすることができました。個人商店の最大の難しさは体調管理にあるといって良いと思うのですが、その当たり前の ことを1年間無事にやり通せたということに安堵した1年でもありました。

世の中に目を向ければ、アメリカの「サブプライムローン問題」に端を発した不況の波が全世界に波及した年になりました。日本国内においても、大幅な円高を 要因とした輸出関連企業を中心とした業績の大幅なダウンが、経済を冷えた状態へと導きつつあります。90年代後半からムーブメント化してきた各種投資によ る利益追求が裏目に出て、大きな損失を被った方も多いに違いありません。もっとも、大きな利益を簡単に得るための投資は、資金を潤沢に持っている方々の専 売特許でしょうから、私たち庶民にはあまりピンとくる話しではありません。

「投資」ということに関して言えば、私はなるべく小さな個人経営のお店で食材を購入したり、食事をしたりするように心がけています。本来の投資というの は、その投資先にもっとがんばってもらって、自分にも利益をもたらせてくれるように支援することを指すはず。自分が気に入ったお店の商品を購入すること で、そのお店が少しでも繁栄してくれるのであれば、自分が購入する品物の品質もおのずと上がってくるはずです。

大きなチェーン店で買い物をしても、それは地元の商店街や地元の個人経営のお店の発展には何もつながりません。だからなるべく個人でがんばっているお店を 利用するように心がけているつもりです。ファミレスには行かないで家族経営のレストランに行く、回転ずしには行かずに地元のお寿司屋さんを利用する、スー パーやデパートに入っているような大手のお菓子屋さんは使わずに地元のお菓子屋さんを利用するなどを心がけています。そのお店に投資した分、そのお店から はきっと、ちょっとした幸せだとか満足だとか、そういう目に見えないものがたくさん返ってくると思うのです。それは「お金」に換算できるものではありませ ん。パソコンの前に座って、毎日株価を眺めて利益を追うトレーダーの方に言わせれば、そんなものは投資でも何でもないかもしれません。でも、株だとか何だ とか、そんなものは関係なく、「そのお店に成長して欲しい」「これからも素晴らしいものを提供し続けて欲しい」という気持ちで、そのお店を利用させていた だくというのは、紛れもない「投資」であると私は思うのです。

当店もお客様から珈琲豆を買っていただくという形で「投資」をしていただいていると考えています。皆様が当店の珈琲豆を買っていただいたことで生み出され た利益を、更に当店を発展させ、更に巣晴らしい珈琲豆を提供できるようにしていくための原資と考え、皆様に「幸せ」や「満足」といったささやかな利子をつ けた上で、これからもずっと還元させていただきたいと思うのです。

2009年、更に日本経済は冷え込みが厳しくなり、個人の出費は抑制される傾向が進むことでしょう。当店のような個人商店への影響も少なからず出てくるか と予想されます。そんな中でもお客様から引き続き当店への期待を込めた「投資」をしていただけるようにがんばっていきたいと考えております。




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