No.053 / 2007年10月03日

「初秋の出来事」

 
 
9月の中旬を過ぎても30℃を超える真夏日が続き、5シーズンがんばってきた当店のエアコンがとうとう 故障してしまいました。修理も可能だったのですが、来年以降も猛暑が続くことを想定して、1ランク容量の大きいエアコンを新調することとなりました。猛暑 の影響で家電販売店でのエアコンの在庫はほとんどゼロで、注文してからエアコンが入荷するまで2週間待ち!という状況で、念願かなって新しいエアコンが取 り付けられたのですが、今度はその日を境に最高気温が20℃以下の日々・・・。まったくどうなってしまっているのでしょうか?地球温暖化が叫ばれて久しい わけですが、それを打開するための根本的な対策は相変わらず不透明なままで、数十年後と言わずに、あと数年後にはとてつもない恐ろしい状況が待ち受けてい るようでなりません。

 「マグロが食べられなくなるかもしれない」・・・そんなニュースも良く耳にします。日本以外でもマグロを生食する文化が広まり、とりわけ中国のビジネス ゾーンの拡大が、マグロの買い付けを世界規模のものにしているとのことです。それでもマグロは今日も日本中の回転寿司店のカウンターの上を回り続けてい て、一定の時間を経過してもお客様に手にしてもらえなかったマグロは、いとも簡単にゴミ箱へと投げ捨てられてしまうのです。危機感を報じるニュースと、そ れに見合わない市場の現状。世の中は矛盾だらけですね。

 10月に入ってからは、小麦粉の価格の上昇が大きく報じられました。小麦に限った話しではなく、原油高を背景にした、先物取引きのマネーゲームはエスカ レートする一方で、いつのまにか大手メーカーのお菓子の内容量が減らされていたりと、消費者が知らない部分で、そのマネーゲームのしわよせがじわりじわり と出てきているようです。

 コーヒー豆の相場も上がる一方です。当店が開店した5年前に比べて、すべての生豆の相場は2割〜3割高となっています。極力値上げは控えてきたつもりで すが、それでも開店当初に定めた平均単価よりも、いつのまにか高めの設定になってしまいました。これからも良質なコーヒーを手ごろな価格で提供した い・・・というスタンスは変えずにがんばっていきたいと思いますが、いつまでも生豆の卸価格が上昇していくようだと、これは頭のいたいことになりそうで す。菓子のように内容量を減らして、90g単位での販売・・・というようなわけにはいきません・・・。

 不安なニュースが多い中、良いこともありました。今年は子供が通っている小学校のPTAの役員をやらせていただいているのですが、小学校のバザーで当店 の豆を販売していただけることになりました。せっかくだからお店で扱っているコーヒーとは違うものを出そう!ということで、普段は販売していない豆を中心 に配合して作った「ちごちご・ぶれんど」を販売させていただきました。「ちごちご」というのは「おきな草」の愛称で、子供が通う小学校のシンボルでもあり ます。深煎りのブラジル豆をベースにしたブレンドで、苦味が中心にありながらも後味のスッキリとした香り高いブレンドに仕上げたつもりです。販売を担当し ていただいたブースの役員さんのご苦労もあって、当店から持っていったコーヒー豆はすべて完売することができました。本当にありがたいことです。

 お店で販売している価格よりも、かなり安価にいたしましたので、豆や袋代などの原価を引くとほとんど利益が出ません。バザーということで、「もっと安 く」という声も聞かれたのですが、良い豆にこだわる以上、譲れない一線があると店主は考えております。農園指定の豆などを使用せずに、単純に「ブラジル」 「コロンビア」といった標準グレードの豆を使用すれば、もっと安く提供することも可能です。しかし、クオリティーにこだわらない安いコーヒーで良いのであ れば、スーパーの棚にたくさん並んでいます。

 農園指定のプレミアムコーヒー、しかもバザー当日の早朝から店主と妻が袋詰めした挽きたてのコーヒー。
 そんな100gのコーヒーに、きっと応えてくれる人がいるはずなのです。
 それがたった一人であるとしても、譲れないちっぽけなプライドと、大きな希望を胸に、今日も豆を焼く店主なのでした。



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十人十色のコーヒータイムを演出する、Toiro Coffeeです。
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