No.052 / 2007年08月23日

「夏色の思い出」

 
 
7月上旬に出ていた天気の長期予報どおり、今年の夏は「猛暑」になりました。連日の35℃超えの気温が 続く中、当店に珈琲豆を買いに来てくれる常連様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。「こんなに猛暑になっては、珈琲豆は売れないだろうナ・・・」と、 半ばあきらめモードの店主でしたが、コーヒー好きの皆様には猛暑なんて関係なし!やっぱり朝は美味しいホットコーヒーからはじめなければ気がすまないのデ ス。

 今年はお盆の週に当店の定休日である第三金曜日が入ったものですから、思い切って6連休の夏休みを取らせていただきました。早めに店頭では告知してきた つもりでしたが、休みとは知らずご来店してくださったお客様もいらっしゃったようで、誠に申し訳ございませんでした。年末までは、毎土曜日と第三金曜日の 定休日以外はノンストップでがんばりますので、変わらぬお引き立てのほど、何卒よろしくお願いいたします。

 お店をお休みさせていただいて、我が家では1泊2日のキャンプに出かけてきました。今まで家族でキャンプはしたことがなかったのですが、今年は「ある キッカケ」があって、キャンプに挑戦することとなりました。そのキッカケとは・・・

 一昨年の夏、当店の常連様であるAさんから興味深いイベントの内容をお聞きしました。それは、夏休み中に長野県内の小中学生を対象に、募集して選ばれた 50人ほどでキャンプをしてくれるというものです。主催は長野県の教育委員会で、キャンプの運営スタッフは信州大学の教育学部在学中の先生の卵でもある大 学生が中心です。親元をはなれて、はじめて顔を合わす仲間たちと1週間のキャンプ、しかも内容を聞けば、テント泊はもちろんのこと、夜間登山して、その山 頂でシュラフにくるまって野宿!すべての行動スケジュールを自分たちで考えて行動する、なんともワクワクする内容なのです。一部の親御さんたちは、愛する わが子を1週間も人様に預けて、しまも野宿させるなんて・・・と思われるかもしれませんが、何ともフニャフニャな我が家のこどもたちが、毎日ダラダラと夏 休みを過ごすことは目に見えておりましたので、これは絶好の機会とばかりに、我が子二人を下伊那郡阿南町の「阿南少年自然の家」まで送り届けたのでありま した。

 こどもたちの1週間のスケジュールを見てみると・・・・夜間登山に野宿、テント設営からテント泊、料理の買出しからはじまって朝食から夕食までの料理、 キャンドルナイト、川遊びに魚のつかみどり、捕った魚は自ら捌いて串焼きに!・・・そんな内容がズラリと並んでいます。これを見てしまったら、店主も妻も いてもたってもいられず、「自分たちもキャンプがしたい!!!」というキャンプモードに突入してしまったのでした・・・。1泊だけのキャンプではありまし たが、バーベキューに燻製づくり(チーズやししゃもなどをスモークしてみました。美味でしたよ!)、そして川辺でオニヤンマを観察したりして、とても楽し い夏の思い出となりました。
 


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緑に囲まれて、沢のせせらぎが気持ちいいキャンプ場。遊び相手は自然。話し相手は家族。あたり 前のコミュニケーションがあたり前にできない時代、それを思い出すには絶好の機会です。



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キャンプでの淹れたてのコーヒーは最高です。高価な高級ホテルのラウンジで飲むコーヒーの何倍も美味しい!妻の淹れてくれたモーニング・コーヒーを飲ん で、思わず「バッチ・グー!」のサインの店主です・・・




 
 長野県の教育委員会が企画している夏のキャンプは、もともとは、不登校のこどもたち、体に障害を持つこどもたちなどが積極的に社会に出て行けるようにと 考えられたプログラムです。ゆがんだ現代社会が生み出した理不尽な社会の枠組みは、自然という緑の中で見事なまでに崩壊し、そして人間が持つ動物の本能を 呼び起こします。人間として生きていくための大事なこと。そこには成績表も宿題もありません。初めて会う仲間たちと心を通わせあい、初めて挑戦するいくつ かの出来事に立ち向かうことで、こどもたちはどれほどの宝物を手に入れたことでしょう。

 キャンプから帰った我が家の2人のこどもたちは、それぞれ1枚の色紙を手にしていました。真ん中に全員が写った集合写真。そしてその周りには、1週間前 までは名前も顔も知らなかった仲間からの寄せ書きがびっしりと書き込まれています。これからの人生の中には仲間とのケンカ、イジメもあるでしょう。成績に 悩むこともあるでしょう。その時、それを打開するための答えは、父親である私にもアドバイスできないかもしれません。でも、あの1枚の色紙があれば、あの 眩しいほどの夏色の思い出があれば、きっと大丈夫、そう思う店主なのでした。



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