No.047 / 2007年3月7日

「お詫びと感謝」

 
 3月3日、桃の節句を家族で簡単に祝う食事を済ませ、いつものように床につきました。その日は幾分かぜ気味で、微熱があり、かぜ薬を飲んでから就寝した ことを除けば、いつもと何ら変わらない週末を過ごしたつもりです。深夜に目覚めるのはよくありますが、この日ばかりは勝手が違いました。胃がいたい。い や、正確には胃ではないかもしれないけれど、お腹の中を誰かにわし掴みにされたように苦しい。いやな汗が体中から噴出し、痛みは背中の方まで拡散し、あま りの痛みに腹筋はガチガチに固まったまま。明らかに体の異常を感じながらも、もう少しがんばれば落ちつくかも・・・と願いながら、暗闇の布団の中をひとり 耐えていました。その間は5分くらいのようにも思えましたし、30分以上だったのかもしれません。そのうち、あまりの痛さにうめき声があふれ出し、呼吸す るのもやっとの状態になり、完全に「これはヤバイ」という状態になってしまいました。妻になんとか声を掛け、迷わず救急車を呼んでもらいました。こうやっ て文章に書いてみるとすごく冷静なように感じますが、その痛みたるや、想像を絶するもので、救急車を呼んでいなかったらどうなっていたかわかりません。

 夜間指定病院になっていたK病院につくとすぐに強力な鎮痛剤である「ソセゴン」が注射されました(もちろん後からカルテで知ったのですが)。この鎮痛剤 はかなり強力なものらしく、それまでの悪夢のような痛みが、うそのように晴れ上がっていくのがよくわかりました。そしてそのままCTスキャン、レントゲン 撮影。そのまま様子を見てから即日入院となってしまいました。以前の「胆石による急性胆のう炎」騒ぎの際に運び込まれた病院が、ろくな検査もせずに「かぜ でしょう」といって、痛みがとれたらさっさと帰宅を促したことにくらべれば、とても親切に対応をしていただくことができ、この日の夜間指定病院がこの病院 で救われたという思いです。

 もう少し様子を見てからの退院を勧められましたが、痛みも消えて、日常生活においては何の支障もないことから、ドクター、看護士の方々に無理をお願いし て、4日の入院を経て、昨日無事に退院させていただきました。この4日間、店を閉めている時間にご来店いただいた皆様、本当にご迷惑をおかけいたしまし た。お店を決められた時間に営業させることは、店とお客様の間の一番基本となる契約事項だと思っております。これからも極力店を臨時休業させることの無き よう勤めて参りますので、ご理解のほど何卒よろしくお願いいたします。貼り紙を見て心配してくださり電話をくれたお客様、家の方に声をかけてくれたお客 様、本当にありがとうございました。

 事なきを得て退院したものの、深夜に店主を襲った痛みの原因は釈然としません。3年前に「胆のう」の中の胆石が原因で起こった発作に、その痛みの激し さ、痛みの出方などが非常に良くにていたため、胆管内に石が詰まったのでは?というのがドクターの見解です。それが胆管から排出されて痛みが収まったとみ るのがもっとも妥当ではないかということです。肝臓から排出される胆汁は、胆管を通って十二指腸に流れます。この胆管の途中に「胆のう」があって、腸に流 れるべき胆汁の量を調整します。すでに店主は「胆のう」を摘出しておりますので、胆石による発作では生涯苦しまずに済むと思っておりましたが、摘出後に 残った胆管内に新たな石ができることもありえない話しではないということを聞いて、ショックを隠せない店主です。入院中におこなった内視鏡検査では胆管内 に石は確認されず、今となってはその激痛の原因を特定することができません。(ちなみに俗にいう胃カメラで胃を覗いてもらうのはそれほど苦ではありませ ん。胃の先の十二指腸近くから横道にそれる胆管にカメラが入ってくるのはかなりツライ検査でありました)

 なんの症状であれ、なんらかの病名を冠さないとカルテが作成できませんから、今回も「胆石症」という、もう2度と聞きたくない病名をつけられてしまいま したが、退院しても店主の心中はもやもやとしたままです。もっとも、何も判断材料がなく、「ストレスからくるものでしょう」などという診察結果を渡される よりは、はるかに納得いくものです。迅速な処置と、夜間にもかかわらず献身的に看護してくださる看護士の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。






 入院する前はほんの少ししか開花していなかった我が家の庭の福寿草。たった4日しか経ってい ないのに、背丈が伸びて花の数も増えていました。

 確実に明日に向かって成長している緑を見ていると、人間だって負けていられないゾ!と思う店主です。


 最後に、世界中につながるインターネット上で公開している文章に書くことではないのですが、一言だけ書かせていただきます。

 今回もすべてを仕切り、家庭を守りながら、極力お店を開けてくれた妻へ・・・心から、ありがとう!

 



<エッセイのTopに戻る >

十人十色のコーヒータイムを演出する、Toiro Coffeeです。
http://www.toirocoffee.com