No.035 / 2006年5月17日

「 白と黒」


 
 この5月で、当店も開店3周年を迎えることができました。たかが3年、されど3年。悪戦苦 闘しながらもこうやって商売を続けてこられたのも、当店を変わらずにご利用になってくれている皆様方のおかげです。

 店をはじめた時、3年後にある決断をしようと決めていました。それは単純明快な決断です。
 「店を続ける」か「店を閉じる」か。
 個人経営のショップの進退の見極めは、3年が目安と言われています。3年たっても利益が向上してこないようならば、商品、プロモーション、立地などのい ずれかに問題があるというわけです。利益向上のためには何らかの大きなテコ入れをおこなうか、あるいは傷口が大きくならないうちに潔く撤退するか・・・。

 当店も決して十分な利益を確保できているわけではありません。地方都市の住宅街のはずれのコーヒー豆屋。それで大もうけしているなどというほうが不思議 でしょう。賢明な経営者であれば、潔く撤退を決めるのかもしれません。

 1年目よりも2年目。2年目よりも3年目。大きく利益をあげているわけではなくても、売り上げは微増しています。当店は極力メディアを使ってのプロモー ションをおこなわないようにしておりますので(新聞社等から取材依頼があった場合はお受けしていますが)、お客様の新規開拓はクチコミのみに頼っておりま す。そのような状況の中で、1円でも、10円でも、売り上げが増している以上、自分の行くべき道から撤退するわけにはいかないと店主は思うのです。

 「白」と「黒」。
 何事にも選択はついてまわります。
 どんなにグレーゾーンに逃げたつもりでも、その中では微細な白と黒が永遠に重なりあっているのです。
 人生こそが無数の「白」と「黒」の選択の連続です。
 その選択を放棄する時、時代はおびただしい数のニートやホームレスを生み出すのでしょう。

 自分はこの先もこの道を歩き続ける決断をしました。
 あくなき探究心と少しばかりの勇気。
 それがある限りは、この道を歩き続けることができると、店主は信じています。




<エッセイのTopに戻る >

十人十色のコーヒータイムを演出する、Toiro Coffeeです。
http://www.toirocoffee.com