No.033 / 2006年2月10日

「 'Espresso' という愉悦 」


 いよいよ明日から、冬季オリンピック・イタリア・トリノ大会が始まります。当店のお膝元で ある長野県からも多くの選手が代表として選ばれておりますので、ぜひとも選手の皆さんにはがんばっていだきたいと思っております。

 イタリアのコーヒー・・・と言えば、エスプレッソです。最近ではエスプレッソを提供するお店も多くなりましたので、特別な飲み物ではなく、ごく当たり前 の飲み物として定着した感があります。

 しかしながら、なかなか美味しいエスプレッソを提供してくれるお店というのは、案外少ない気がします。店主の思うには、苦すぎるエスプレッソが多いとい うことです。コーヒー豆屋さんでも、「エスプレッソ用」というと「イタリアン・ロースト」と呼ばれる、フレンチ・ローストよりも更に深くまで焙煎した真っ 黒な豆を薦める店があります。ドリップで淹れてもとても苦いローストの豆なのに、それを極細挽きにしてエスプレッソ抽出したものはとてつもなく苦く、まる で喉が焼けるかのようです。「エスプレッソは苦手・・・」という方の多くは、このような炭のようなエスプレッソしか飲んだことがないに違いありません。

 店主が以前、イタリア・フィレンツェに行ったとき、どこのカフェで出されるエスプレッソも後味がスッキリしているのに驚かされた記憶があります。不思議 に思って日本に帰ってから調べてみると、イタリアではやや深炒り程度(シティ・ロースト〜フルシティ・ロースト)の豆をエスプレッソに使うのが現在の主流 のようです(イタリアでも地域による味の差があるようですが・・・)。

 そんな体験もあり、当店ではエスプレッソ用には、フルシティ・ローストのブラジル豆をベースにして、そこに若干のマンデリンのフレンチ・ローストを加え たものを、「エスプレッソ・ブレンド」として提供しております。エスプレッソ・マシンで美味しくいただけるのはもちろんですが、中挽きにしてドリップして 召し上がっても美味しくいただけます。

 家庭用のエスプレッソ・マシンも安価になってきましたので、マシンを置いてあるご家庭も増えて参りました。しましながら、イタリアの文化と違って毎日毎 日エスプレッソをいただくという習慣をお持ちの方はそう多くはないですから、マシンを買っても、結局は使わずじまい・・・という方が多いようです。かく言 う店主もそんな一人なのですが・・・。

 そこでオススメしたいのが直火式の簡単なタイプです。一度に2〜3人分くらいしか作れませんが、お腹一杯にディナーをいただいた後だとか、とても甘いス ウィーツのお供にどうしてもエスプレッソを一杯飲みたい!なんていうときにはうってつけです。




粉は極細挽きにします。手動タイプのミルではかなり大変なので、理想は臼歯式の電動式のコーヒー・ミル(グラインダー)を利用することです。よくコーヒー メーカーに付属しているプロペラ式のミルでは、エスプレッソ用に挽くのはちょっと無理でしょう。ご家庭に適切なミルがない場合は、お店で極細挽きにしても らいましょう。もちろん当店でお買い上げの際には「エスプレッソ用」とお申し付けくだされば大丈夫です。

水を入れてから火にかけますと、なかなか上手にいきません。ヤカンでお湯をわかして、それを使っていただくと上手にできます。コンロに置く際には、一般的 なコンロでは据わりが悪く、倒れたりしてとても危険です。エスプレッソ・リングというものが入手できれば、それがベストですが(右の写真のようなコンロに 載せて使う器具です)、なければ金網を置いて代用しても良いかと思います。




火はエスプレッソ・マシンの底面の大きさに合わせたくらいの火力にします。強火にしてしまう と、火がまわり込んで、マシンの取っ手を焦がしてしまったりして危険です。最初からお湯をいれた方が良いうというのは、弱火から中火でも時間をかけずにエ スプレッソをいれられるからです。

蒸気が上がって、お湯が上のサーバーに抽出されて完成です。ちょっと小ぶりのデミタス・カップに注いで召し上がれ。砂糖を入れても良いですが、チョコレー トをかじりながら飲んでいただくのが店主のオススメです。不思議なくらいエスプレッソの苦味を気にせずに飲めてしまいますよ!

オレンジやレモンの皮を数ミリ角に切って、それを1つ浮かべると柑橘系の香りが立ち上って、ちょっと洒落たエスプレッソになります。




 エスプレッソをいただきながら、トリノの空の下で頑張っている選手の皆さんを応援してみてはいかがでしょうか?
 ちょっぴりイタリアの文化を感じることができるかも知れませんよ。



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十人十色のコーヒータイムを演出する、Toiro Coffeeです。
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