No.025 / 2005年6月16日

「Be Free!」


 最近TVニュースや新聞紙上などで、「クールビズ」という言葉をよく見かけるようになりま した。地球温暖化防止のために、エアコンの設定温度を若干高めに設定し、そんな中でも涼しく効率的に働ける「夏の服装」の愛称です。そんな言葉、いつから あったっけ?と思いインターネットで調べたら、環境省が一般から募集して決めた新しい言葉だとのことです。さすがに10年以上も前に羽田牧・元首相ががん ばって着ていた半そでのスーツ姿の愛称だった「省エネルック」では時代遅れということでしょうか・・・。

 先日、高校時代の友人と会話していた時のことです。彼が最近欲しいものの1つが「腕時計」であるという話題になりました。自分も会社勤めをしていた頃、 機械仕掛けの自動巻きの腕時計に憧れて、新宿のデパートの時計売り場をウロウロとしていたものです。しかし今となっては腕時計は私の物欲をかきたてるもの でもなければ、かっこいいファッションアイテムにもなり得ません。それは自由の束縛の象徴に思えるからです。

 東京のIT企業に勤めていた頃は、常に時間とともに生活していました。朝起きて食事を済ませ、早足でJRの駅を目指します。もちろん電車は私の遅刻を 待っていてはくれませんので、常に左腕にはめられた「時計」を睨めながらの早足が日課です。ギュウギュウ詰めの埼京線に揺られながら、到着駅までの区間内 では、かすかな隙間からかろうじてつり革につかまることができた左腕とまたしても睨めっこ。次なる地下鉄への乗り換えはどうやったら最短時間で済ますこと ができるのか・・・そんな事を考えながら満員電車内で「時間」を気にしていました。そして会社に着いてからは、いろんな会議、お客様とのアポイントメン ト、様々な決められた「時間」が迫ってきます。そんな一日が終わり、帰宅して「腕時計」をはずした瞬間、やっと「時間」からの呪縛から逃れられたような気 がしたものです。そんな具合に、「腕時計」というのは自分にとっては「束縛」を意味する道具にいつの間にかとって変わっていたようで、会社勤めを辞めてか らは腕時計をまったくしなくなりました。

 TVから流れる「クールビズ」を実践しているノーネクタイの人たちの姿は、皆一様になんだかちょっぴりうれしそうです。襟元がゆったりしたおかげで、多 少なりとも涼しく感じられるからかもしれません。しかしその笑顔の真意は、ビジネスをするために着ることを課せられたスーツという「鎧」の一端をはずすこ とができたからではないでしょうか。

 現代人は様々なストレスを抱えています。「自分はストレスなんて感じていない」という人も結構多いでしょう。かつての自分もそうでした。しかし、自分 の頭で考えているものは「思考」であって「心」ではありません。「思考」というのは、自分が生まれてから学習した言語で解釈できるレベルのものです。言語 では説明できないメカニズムが「心」なのです。「クールビズ」は地球温暖化の防止のみならず、日本人の多くに蔓延するストレスを少しでも減らしてくれるの ではないか・・・などと思う店主です。

 コーヒーの香りは人をリラックスさせる効果があると言われています。香りを用いたリラックス法は「アロマテラピー」としてすでに広く認知されるところで すが、コーヒーの香りももっと積極的にリラックスするために用いていただきたいと思います。「香りの良い豆をください」と言ってやってくるお客様がたまに いらっしゃいます。そんなお客様に迷わずにオススメするのが「ガテマラ」です。良質な酸味と甘さを持ち、香り豊かなことで知られるこの豆は、ブレンドの香 りを演出するのにかかせない豆でもあります。

 
ネクタイをはずして、腕時計もはずして。
 そしてもちろん片手には一杯のガテマラを。

 


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十人十色のコーヒータイムを演出する、Toiro Coffeeです。
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