2週間ほど前、庭木の剪定をしていた時の事です。

高い枝を脚立に上って剪定しようとしたのですが、ふと見ると枝分かれのところに鳥の巣らしきものが見えました。剪定する木に鳥の巣があるのはこれまでも何度もありましたし、中に卵だとかヒナだとかがいたこともないので、何気に枝を切り落としました。

下に枝が落下しないように左手で保持していたのですが、切り落とした枝の鳥の巣をふと見ると、なんと子供の親指ほどの大きさの、産毛もまだ生えていないような小さなヒナが3羽いるではないですか!くちばしを上に向けて一生懸命パクパクしています。

下からは何も気配を感じなかったので、空の巣だと思って枝を切り落としたのですが、時すでに遅し。近くにいた妻を呼んで事情を話し、2人でヒナを見つめながらオロオロとするばかり。

考えた挙句、私が出した結論は、枝を元の木の幹に戻して麻ひもで頑丈に固定すること。私たちが保護して育てる術は全くありませんし、場所を移すのもリスクがありそう。何とか元の環境に近くしてあげればよいのではないかという考えです。

枝を元の場所に固定して、しばらく距離を置いて見守っていると、1羽の親鳥がす〜っとやってきて、周りをキョロキョロと確認したあとに巣に入っていきました。よかった!親が育児放棄してしまうのではないかと心配していたので、まずは一安心。それからは数時間おきに窓の外を眺めては親鳥が餌を運んでくるのを確認しては安堵のため息。

それから2日ほど経ったのですが、その日の夕方からは雨風が強くなるとの天気予報。麻ひもで固定しただけの木の枝が強風で飛ばされたりしたらどうしよう・・・と考えると不安が募るばかりです。意を決してその日の朝、再び脚立に上って、枝を更に麻ひもで頑丈に固定しました。

その際にヒナが順調に育っているか確認しかったので、そっとその中を観察して写真を撮らせてもらうことに。



おお〜、大分成長している!身体が2回りほど大きくなった気がしました。鳥の成長の早さにびっくり。うっすらと毛も生えそろってきています。親鳥の身体の色などからしてこれはカワラヒワのヒナのようです。

それから毎日、親がヒナに餌を運んでくる姿を確認するのが日課となった我が家。親が来るとヒナもあわてて鳴きはじめるのですが、最初はコオロギの鳴き声かと思うほど小さかった鳴き声が、1週間もするとかなり立派な鳴き声に替わってきました。

そして今日。朝から親鳥がまったく来ません。ヒナを最初に発見してから2週間ほど経過しましたので、これはもしやと思い巣の中を観察してみると、思った通りもぬけの殻。どうやら無事に巣立ってくれたようです。

昨日の午後、かなりカワラヒワがたくさん鳴いている時間帯がありましたので、おそらくはその時に巣立って行ったのでしょう。できれば巣立ちの瞬間を見守りたかったのですが、まさか一日中巣を眺めているわけにもいかず、それはかないませんでした。

何だか嬉しいような寂しいような。複雑な気持ち。
でも、ちょっと間違えたら私の手で命を奪ってしまっていたかもしれないヒナたちが、無事に成長して巣立っていってくれたのですから、本当にほっとしたというのが正直な気持ち。

もし巣立ったヒナたちが、自分たちが生まれた場所を覚えてくれているのなら、来年の今頃はまた我が家の庭に戻って来て欲しいナと願うのでした。

これからは枝の剪定には気をつけるようにするからね。